週刊「川柳時評」
2024年4月12日金曜日
瀧村小奈生句集『留守にしております。』
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瀧村小奈生の第一句集『留守にしております。』(左右社)が発行された。瀧村は、なかはられいこの「ねじまき句会」で川柳を書いていて、川柳歴はすでに20年。かねてから句集が待ち望まれていたが、ようやく上梓されることになった。 何ということもない毎日の生活の中で、ちょっとした発見があって...
2024年2月23日金曜日
正岡豊歌集『白い箱』
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ビクトル・エリセ監督の映画「瞳をとじて」を見た。「蜜蜂のささやき」(1973年)から50年、「マルメロの陽光」(1992年)から31年ぶりの長編映画である。エリセは寡作な監督であることで知られているが、寡作ということには何らかの意味があるだろう。第一作が好評すぎて次作が作りにくい...
2024年2月18日日曜日
暮田真名『宇宙人のためのせんりゅう入門』
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暮田真名『宇宙人のためのせんりゅう入門』が好評だ。 1月21日の朝日新聞「短歌時評」で小島なおが「令和時代の川柳」として取り上げている。 「文学界」3月号掲載の穂村弘のエッセイ「あと何度なおる病にかかれるだろう」でも暮田の川柳が紹介されている。こんな句である。 恐ろしくないか...
2024年1月26日金曜日
土井礼一郎歌集『義弟全史』
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昨年出版された歌集のなかで土井礼一郎の『義弟全史』(短歌研究社)のことが気になっている。「かばん」12月号の特集でこの歌集が取り上げられていて、郡司和斗、川野芽生、斎藤見咲子による書評のほか、作者自薦25首が掲載されている。興味深いのは「いきもの図鑑」で、「さまざまないきものが登...
2024年1月5日金曜日
龍の俳句など
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今年は辰年である。まず柴田宵曲の『俳諧博物誌』(岩波文庫)から龍の俳句を紹介しておこう。 芋糊や龍を封じてけふの月 由々 龍神のくさめいく度おそ桜 友水 龍宮もけふは江戸なり塩干潟 政信 海老上臈龍の都や屠蘇の酌 如蛙 五月雨や小龍の合羽浮海月 山夕 龍の駒卦引の道をむ...
2023年12月22日金曜日
2023年回顧(連句篇)
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昨年『現代連句集Ⅳ』(日本連句協会)の編集にたずさわって、現代連句の歴史を改めて振り返ってみる機会をえた。連句に対する関心は潜在的に広がっている。小津夜景は『現代連句集Ⅳ』にエッセイを寄稿していて、連句実作の経験をふまえてこんなふうに書いている。 「連句を始めて以降、俳句を作った...
2023年12月15日金曜日
2023年回顧(川柳篇)
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「川柳スパイラル」19号の特集は「石田柊馬の軌跡」である。追悼号とは銘うっていないが、同人・会員の作品に柊馬作品を踏まえた句が多く掲載されている。 夕暮れのポテトサラダという合図 畑美樹 コン・ティキもジンタも青い原っぱに 一戸涼子 にっこりと断言「妖精は酢豚に似て...
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